day43 82番、80番、83番
今日のルートはかなり変則的だ。
82番、80番、83番と進んでいく。最短ルートを考えるとこの順番が一番良いらしい。
82番の根香寺までの山道はイノシシが多いようだ。少し怖いが毛の生えた豚だと思えば、怖がるほどのものではない。
まずは遍路道に向かおう。
ここから先は徒歩のみ。
いざ、けものみちへ
本当に獣いそう
気にせず歩き始める。
イノシシ注意の看板がやたらある。
ここからは神聖な道のため、どんな高貴な人でも乗り物から降りて歩くらしい。
その場所が下乗石というらしい。
歴史のある場所だ。
そう歴史にひたっていると。
獣の鳴き声が、豚のような、犬のような、始めて聞くような鳴き声だ。
もしかしてイノシシなのでは。
怖い気持ちを抑え、ただの毛の生えた豚だと言い聞かせた。
とにかく、祈った。
イノシシから身を守れますように。
痛めている足に突進されたらひとたまりもない。
水溜まりも気にせず、早歩きで進んだ。
石につまずきそうになりながらも、毛のある豚の鳴き声から逃げた。
やっと毛のある豚の声が聞こえなくなった。
フェンスの向こうは自衛隊演習場。
もうイノシシはいないだろう。
藪の中からガサガサと音がする。
更に豚のような鳴き声が。
藪の中を見ると黒い物体が蠢いている。
何故か息を止めた。抜き足一足忍び足と静かに静かに、小走りに前に進んだ。
『所詮、毛の生えた豚だ、恐れるな』と言い聞かせながら。しばらくイノシシは俺と並走してどこかに消えた。
怖かった。胸を撫で下ろした。
久しぶりに生きてる実感が持てた。
足場の悪い道をまた歩き続ける。
後、2.8㎞。
山道のため、先は長い。
左足首が痛い。山道は本当にきつい。
また急勾配だ。
緩やかになってきた。
道路にでそうな予感。
舗装された道だ。足の負担も減るので安心。
みちくさしたい。
でも我慢だ。
もう少しだ。
山道だが近道だ。
平坦な道だ。
突然、急坂に。
到着。
これはなんだろう。
人間を食べる牛らしい。
人間を食べるイノシシじゃなくてよかった。
82番の根香寺の山門だ。
階段だ。
やっと本堂。
ここは中の回廊を進んで本堂に行くようだ。神秘的だ。
折角だから献灯。
お参りをしたら、途中まで同じ道を戻る。
行きは上りだから帰りは下りだ。下りの方が今の俺には辛い。
80番の国分寺との分岐点に戻ってきた。
ここから5㎞だ。
逆から来ているため、遍路転がしと言われている難所の坂を上らずに下ることに。
しばらくは緩やかな下り坂が続く。
乳白色の綺麗な泉が。飲めるのだろうか。
まだ、緩やかだ。
また、イノシシ看板。
この前、イノシシ肉食べてしまいました。すみません。
急な階段が突如現れる。
足が痛い。
足首がズキズキ痛んできた。
足元が固い。スニーカーだとメチャクチャ滑る。
何度か滑って転んだ。
靴もズボンも泥だらけだ。
この歳で泥だらけだ。情けない。
でも、人の目は気にする必要はない。ここは山の中で誰もいない。下山してからは気になるかもしれないが。
やっと、まともな道に。
長かった。
そして、道路に。
毛の生えた豚 イノシシよさようなら。
麓の町も見えてきた。
80番の国分寺まで後少しだ。
やっと到着。
ミニお遍路なるものがある。
これまで回ってきたお寺の菩薩が全てある。
懐かしい。
お地蔵さんがいっぱい。
そして次は83番の一宮寺。
10㎞近くあるはずた。
山はもうないだろう。
と思ったら山が見えてきた。
道路の坂道なだけマシだ。
はあはあ言いながら額に汗して歩き続ける。
これまで汗をあまりかかなかったのに、最近はいつも汗でびっしょりだ。
かなり広い道に。
看板が見えてきた。
83番の一宮寺に到着。
これで今日のお参りは終了。
次は宿に向かう。
今日の宿は高松に新しくできたルートインを目指したいのだが、ここから10㎞ほどある。
みんながお勧めするホテルなので、なんとか頑張って行こう。
街中は車が多く遠回りになるので、川沿いをひたすら進む。
川に沿って歩き続ける。
歩行者道路だから車は来ない。快適だ。
一旦、街中にでる。
また川沿いの道にでる。
住宅街の生活道路を通る。
橋を渡る。
そして国道を歩き続ける。
歩き続けること3時間。
ホテル周辺の屋島に到着した。
明日の84番の屋島寺の麓でもある。
ROUTE INNに到着。
新しい、綺麗で機能的、そして快適だ。
今日の歩行距離は30㎞オーバー。
足首を痛めているがなんとか歩けるものである。明日の山越えも大変らしいので身体をしっかり休めよう。